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太極拳の基礎知識

太極拳について基礎知識を整理しておきましょう。
中国武術について詳しくは学研から出ている『中国武術の本』があります。あと、『拳児』というマンガは、中国武術をテーマにしているのですが、この世界がよくわかります。ちなみに、私が太極拳を習った先生が、このマンガに出てくるんですよ。一コマだけですが。

日本で行われている太極拳には大きく分けて三つの系統があります。

1) 中国政府が制定した体育としての太極拳。制定拳。
2) 楊名時太極拳。
3) 昔から伝統的に伝わっている太極拳とその流れ。伝統拳。

1) 太極拳は昔からたくさんの流派に分かれて存在していたのが、今の中国ができた後で国家がこれを整理して、学びやすいような型をいくつか作りました。これが「制定拳」といわれるものです。

制定拳にはいくつかありますが、まず「24式」(簡化太極拳ともいいます)を入門として習います。次に、「48式」をやり、「太極剣32式」をするのが一般的です。刀や、扇の型もあるようです。このほか、競技用に作られている「総合太極拳42式」と「太極剣42式」などがあります。競技というのは、体操や新体操みたいに演武してそれを採点するもので、アジア大会などで正式種目となっています。日本ではこの系統は「武術太極拳」という名で組織されています。

2) これは日本で独自に広まっているもので、楊名時という方が広めているもので、けっこうたくさんの教室があります。これは健康法として行われ、気功との関連が深いものです。八段錦という気功法を合わせて行います。太極拳の方は24式ですが、制定拳と若干違うところがあるので注意が必要です。また、空手着を着て裸足で行うというところがちょっと変わっています。

3) 中国で、国家によって組織されていない民間での太極拳家の流れを組む人たちが日本で教えているものがあります。これが伝統拳ですが、楊式、陳式、呉式、孫式、武式などたくさんの流派があります。

制定拳は楊式をベースとしており、これに各流派から少しずつ取ったものをつけ加えている型もあります。最近では、伝統拳の競技用の型もできました。

日本では男性の間では陳式に人気があります。制定拳をやっている教室でも、楊式や陳式など伝統拳も教える教室もたくさんあります。一方、制定拳には目もくれず伝統拳を追求する一派もあり、たとえば日本柔拳連盟などがそうです(地曳さんの本はその系統ですね)。
私の知人が「多聞内神道」という太極拳の一派をやっていましたが、これは伝統楊式の太極拳をやるのですが、なぜか神道系の修行がプラスされているという、ふしぎな団体でした。

本やDVD、またカルチャーセンターなどでも、このようないろいろな系統が入っているので、よく確かめることが必要です。
ちなみに私は、いちばん最初は何もわからず2)の教室に入りましたが、ここでは24式しかやらないとわかって、1)の教室に変わりました。「全日本太極拳協会」という、中野春美さんが主宰する教室で、日本ではけっこう有名なのです。当時は中野にありましたが、今は浜松町に移転しています。

一般に、中高年の人が健康法としてやるなら2)の教室がいいです。ここでは型の正確さはあんまり言わないので、その意味でのレベルは高くはないです。うまくなろうという人はふつうは1)の教室に行きます。ただ、1)は型の正確さが中心で、「気」のことはあまり言わないんですね。その点が物足りない人は3)の門を叩くみたいです。3)の場合はひじょうにまちまちなので、その系統に十分注意を払うことをおすすめします。
by harrei | 2010-01-09 12:28 | 気功・太極拳